プレスリリース

2019年 2月 1日
石川県加賀市/⼀般社団法⼈加賀市観光交流機構
株式会社アドヴァンテージ

「社員が最大の資源である」「社員の成長無くして、会社の成長なし」
旅館はもっと良くなるはずだ、経営コンサル出身社長の挑戦:KAGAルート勉強会レポート

石川県加賀市(宮元陸 市長)と一般社団法人加賀市観光交流機構は、人材採用支援事業を手掛ける株式会社アドヴァンテージ(神奈川県横浜市、代表取締役社長:中野尚範)と連携し、加賀温泉郷の宿泊産業における、就労環境改善や雇用創出に向けた取り組み「KAGAルート」を平成29年8月より開始しております。
 プロジェクトの一環として採用強化に向けた勉強会を実施しており、今回は香川県小豆島の小豆島国際ホテル、ベイリゾートホテル小豆島の経営再建を、大手アパレル、縫製工場勤務や経営コンサルタント会社の経験を活かし、宿泊業は未経験ながらも、徹底的な財務分析と、スピード感ある経営判断で様々な施策にチャレンジされ、観光庁「宿泊業の生産性向上推進事業」の優良モデル旅館として首相官邸で報告する程になるまでの、労働生産性を向上させる為の様々な取り組みや、実際の経営指標となる数値をオープンに解説いただき、宿泊単価の考え方、お客様満足度、人材採用の成功事例等を、株式会社エンジェルリゾートグループ小豆島 代表取締役社長 木下 恭一郎氏をお招きし、「旅館は、もっと良くなるはずだ」と題し、具体的な取り組み、経営者としての想い等をご講演いただきました。(平成31年1月29日実施)

【講演内容】
成功事例に学ぶ「旅館は、もっと良くなるはずだ」
-経営コンサルタントが旅館経営をした成功と苦悩-
・経営分析、労働生産性向上、人材採用・人材育成などの取り組みなど
1)旅館業界の現状
2)成功事例①徹底的な財務分析、SWOT分析、経営計画立案、経営状況開示、社員との約束を守る
3)労働生産性向上モデル旅館として/アウトプット(算出)の向上
4)成功事例②客室単価を上げても客室稼働率が下がらない方法
5)成功事例③客室単価を上げてもお客様満足度が下がらない方法
6)人材採用、人材育成

■先ず徹底的に自社の財務分析を行い、標準指標と見比べ経営の健康診断から始める。 このまま永続的に経営が続けられるのか、経営者としての危機感を持つこと。

■先ず徹底的に自社の財務分析を行い、標準指標と見比べ経営の健康診断から始める。 このまま永続的に経営が続けられるのか、経営者としての危機感を持つこと。

 15年前に経営コンサル業界から、宿泊業に移った時に経営状況を判断する標準指標が無かった。自社が業界のどの位置いるのかを知りたくてもわからなかった。当時は収拾に苦労したが、今は日本旅館協会が会社規模別に数値を公表してくれているので、それを標準指標として活用して欲しい。金融機関が融資を検討する際に数値分析する様に、宿泊事業者の経営者も自社の数値を自身で把握、理解、分析し、健康診断の様に何が優れていて、何が劣っているのか、改善するには何の項目、数値を改善すべきかを考えて欲しい。
 例えば宿泊単価の様な代表的な数値以外に、客一人当たりの水道光熱費というような項目もあります。特に「労働分配率」は意識して下さい。旅館経営において40%を割れば、必ず利益が出るという指標です。もう一つは「人時生産性」(粗利÷総労働時間)にも注目して欲しい。この数字を上げないと年収も上がらない。上げていくためには無駄をそぎ落とし、筋肉質な経営を目指さないといけない。何故、休まず一生懸命働いているのに儲からないのかを理解してほしい。

■縁もゆかりもない移住者中心の採用には、武器が必要である。また経営者が先頭に立つこと。

 業績が徐々に回復しつつある中で、人出不足感を感じたのは3、4年前。採用を強化しないと生き残れないと感じた。私自身が採用の先頭に立ち取り組んだ。200万円ほどの費用をかけ、リクルーティング動画と冊子を作成した。仮に40年間働いてくれる正社員を採用すると、1億5千万円ほどの大きな買い物をするのと同じであり、その判断に200万円程度の初期投資を惜しんではいけない。
 また、最終面接は社長自らが小豆島に求職者を招待し、自らおもてなしをし、求職者をゲストとして接し、気遣いできるか等、一泊二日一緒に旅行しながら、遊びながら判断する。その方が様々なことが感じられる。その結果、一昨年は8名、昨年は6名、今年も6名の採用ができている。小豆島の方は1名のみで、縁もゆかりもない移住者を中心に採用を行っている。「仕事より生活が大切」という今どきの考え方もようやく分かってきた。インターンシップも5泊6日で行っている。期間内に島内観光も実施し、この出会いから、他の学生にも広がっていくような関係性づくりに力を入れている。
 50年後には、自身が経験した縫製工場と同様に98%の旅館が廃業するかもしれません。「現在の延長線上には、未来はありません。」、「過去と他人は変えられない。でも未来と自分は、変えられます。」会社と社員の付加価値・存在意義を高め、無くてはならない旅館や人材育成に努めてください。

■参加者の声(※勉強会アンケート回答より一部抜粋)

・具体的な数字を交えたお話しで、大変参考になりました。
・経営そのものの取り組みを聞かせていただいて参考になりました。
・徹底的に分析されている点が参考になり、自社でも試みたい。
・採用チーム、地域としてのインターンシップなど参考になった

■KAGAルートとは

加賀市、加賀温泉郷DMO、㈱アドヴァンテージが官民連携体制のもと地域が一体となり、 宿泊産業における働き方改革・就労環境改善に取り組み、新規就労者創出を目指します。

■日本一働きたくなる温泉観光都市を目指して
 温泉旅館雇用促進プロジェクト「KAGAルート」
1)採用強化に向けた勉強会            2)従業員向け合同研修
3)これからの加賀温泉郷、経営合理化を図る検討会 4)空き家活用による従業員住環境のテスト実証
5)求職者・従業員就労ニーズ調査         6)インターンシップの受け入れ体制づくり
7)合同就職イベント               8)加賀温泉郷専用の求人サイト「KAGAルート」

■KAGAルート事業主体

・加賀市観光戦略部 観光交流課
 本事業の事務局を担い、観光宿泊事業者と行政の連携窓口として、市役所関係部署との調整も行いながら、
 本事業の円滑な運営を進めます。
・一般社団法人加賀市観光交流機構 (加賀温泉郷DMO)
 三温泉の観光協会や旅館協同組合、市内観光事業者、観光以外の各種業界も包括する地域商社的な組織として、
 宿泊観光事業者と連携しながら本事業を推進します。
 ※DMO:Destination Management / Marketing Organization の略
・株式会社アドヴァンテージ
 人材採用支援事業を専業とし、求人広告、人材派遣・紹介に頼らず企業独自の採用サイトで、
 直接求職者と企業が繋がる採用手法(ちょくルート)をサービス展開するとともに、
 地方創生や働き方改革に関する公共事業を手掛け、様々な地域資源を組み合わせた採用ブランドづくり、
 ウェブ・SNS等を活用した情報発信・プロモーション、効果的なマーケティング、戦略策定等、
 地域を主体とした採用支援を推進。
 本事業では、企画運営を受託し、優れたノウハウを活かし効果的な事業推進を図ります。  
【お問い合せ先】 
■加賀市観光戦略部 観光交流課 (担当:宮永/奥野)
Mail:kankou@city.kaga.lg.jp
Tel: 0761-72-7905
■株式会社アドヴァンテージ「KAGAルート」事務局(担当:奥村)
Mail:info@ad-vantage.jp
Tel: 045-477-1033
(石川県加賀市大聖寺にサテライトオフィス「ADVLab.」を開設しました)